小説:(隔週連載)

「がんばれ!沖田君」

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主人公:沖田裕貴(32歳)、妻(30歳)、
長女(3歳)、長男(0歳)の4人家族。

※彼が体験する業界の不思議を、
中堅営業マンの目線でお話します。
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2011年 4月10 日(日)
第64話:一体感の作り方!
■前回のあらすじ…待望の合同展の場所が確定し、あとは開催の準備だけであったが、その前に担当者で一度顔合わせすることにした。

『では、改めてメンバー紹介です。』と沖田の掛け声で、集まった6名の自己紹介が始まった。
「株式会社アイラインの横川と言います。今回の展示会会場の大家です(笑)。ニットのOEMやっています。よろしくお願いします。」
「株式会社大和田の和田です。うちは何もかも古い浅草のバッグメーカーです。よろしくお願いします。」
「オカヤマ株式会社の池田真由です。うちもOEMの会社です。今日はうちの社長の児島の代理で出席しました。」
「初めまして、アラン・コーポレーションの太田圭子です。アクセサリーと雑貨を企画製造しています。今回は横川さんのご紹介で参加させて頂きました。よろしくお願いします。」
『株式会社keiの沖田です。こちらは同じ部署の藤原と言います。』
「藤原です。まだまだ新米ですので、よろしくお願いします。」
自己紹介が終わり、早速運ばれてきたビールで乾杯した。年齢も近いこともあり、どんどん打ち解けていった。
そして、沖田から開催の主旨と概略が説明された。
『すでにメールでご連絡していることですが、開催は2か月後の10月で、開催期間は3日間…初めてのことですが、アイラインさんのご厚意で会場の什器備品もすべて使えることとなり、あとは商品を搬入するだけで準備は相当楽になると思います。』と説明が続き、『それと、今回はうちが発起人みたいなので、一応運営責任者とさせて頂きます。ただ、今後この合同展が継続されるかどうかは未定なので、その時はまた話し合わせて下さい。』
「沖田さん、これは一発花火ですか?」と、テンションが上がってきた和田。
『いや、そういうつもりではないのですが、何せ初めてのことで、私も継続はしたいのですが、どういう反響があるのか分らないので…』と、慌てる沖田。
「続けましょうよ。私は、販路拡大の社運をかけて、沖田さんの考えに賛同したんです。たぶん、池田さんとこの児島社長も同じ考えだと思いますよ。今はこのメンバーだけですが、もっともっとたくさん参加してもらって、一杯お客さんを呼びましょうよ。」と、だんだんトーンが上がってきた和田が、
「そうだ!名前を付けましょう、合同展の名前を!」と言うと、
「いいですねえ」と笑顔の横川。
「ステージなんてどうですか?晴れ舞台と言うか、表現する場というか…」と言う池田真由に
「良いですねえそれ【合同展ステージ】。太田さんはどうですか?」と調子の良い藤原。
「私も良いと思います。名前があった方がお客様にも説明しやすいし、一体感が出るような気がするし。」
「じゃあ、合同展ステージで決まりじゃないですか!沖田さん、これで行きましょう。」と元気な和田。
『よし、では【合同展ステージ】で決定します。そして、今後も継続していくつもりで、皆さんもぜひ協力して下さい。』と沖田。
「なんだか一つの会社みたいですね」と言った池田の一言に皆がうなずき、すかさず藤原が、「それでは、合同展ステージの今後の成功を祈願して、かんぱあ〜い!」とジョッキを高々と上げた。それにならって皆もグラスを持ち上げた。

■酒の力はあるものの、この一体感に酔いしれたのは沖田だけではなかった。そして大いに盛り上がった翌朝、沖田が出社すると…